※この質問の後、2016年度より市立中学校に電子黒板機能付きモニター設置がされました。 
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【質問】
私がインターネットを初めて使った20年前のことですが、インターネットといえば、新聞記事や興味・関心のあることを調べるといった用途が主でしたが、ICT(information and communication technology)すなわち情報通信技術の利活用は、現在、日常生活だけでなく仕事においても不可欠なものになってきました。パソコンしかなかった端末はスマートフォン、タブレット、ゲーム機など、多様化しました。

初日の一般質問で花岡議員が取り上げたWi-Fi通信など、当時では想像できなかった変化が起きています。また、2011年にはテレビのアナログ放送が終了しました。暫定的な措置としてデジタル放送をアナログ方式に変換して放送するデジアナ変換放送も今年3月に終了し、ほとんどの家庭からブラウン管テレビはなくなりました。一昔前に当たり前であったことが当たり前でないことに驚いていられません。  

西宮市議会において、第2回定例会よりインターネットを利用しての生中継、録画による中継映像の配信が始まりました。そして、今第3回定例会からは議案等の審査をより充実させることを目的として資料閲覧システムが導入され、議会情報端末、すなわちタブレット型情報端末が全議員に貸与されて、議会活動においてもICTを利活用する能力が求められています。

さて、西宮市立学校におけるICT環境整備の状況ですが、平成26年度末の文部科学省の学校における教育の情報化の実態等に関する調査によりますと、ICT環境の整備状況において、指導者用のデジタル教科書の整備率は国の平均39.6%、兵庫県の平均36.8%に対して、西宮市は100%です。なお、この調査は、1教科、1学年でも導入していれば整備済みとカウントされます。

西宮市では、全小学校で全学年用に、国語、書写、算数、理科、社会、地図帳が整備されています。また、中学校では、全中学校全学年用に、国語、数学、社会、理科、英語、技術・家庭科が整備されています。特に小学校では学習内容が多様化する2年生の算数や、図形の移動、空間把握能力の育成にアニメーション機能が有効であることから、高学年の算数の授業では利用率が高く、デジタルテレビと接続することで、それぞれ年間1万回近く授業内で利活用がされています。

続いて、教育用ICT機器等整備状況の一つ、今の話でも触れました大型デジタルテレビの整備状況です。平成27年11月現在、西宮市の公立小学校全40校において、現在、全普通教室に合計945台のデジタルテレビが設置されています。一方、中学校では、全20校において約450台近くのブラウン管テレビがいまだに設置されています。デジタルテレビの設置台数はといいますと、合計で60台、1校当たりにするとわずか3台です。

平成25年6月に閣議決定された教育振興基本計画の基本施策「良好で質の高い学びを実現する教育環境の整備」のうち「教材等の教育環境の充実」の項目で示されている基準を西宮市における整備状況と比較しますと、デジタルテレビとセットである無線LANの整備率は、小学校は100%です。それに対して中学校では68%と、達成されていません。教材整備指針に基づく電子黒板、実物投影機の整備は、小学校で基準を達成していますが、こちらも中学校では達成されていません。

ことしの夏に移動用タブレット端末が公立中学校に導入されましたが、その利活用のためにこの整備は必要となります。また、デジタル教科書をデジタルテレビと接続することで効果的な授業を実施することも可能ですし、コンテンツ内の教材を利活用することは、学力向上という面だけでなく、次の質問項目でも述べますが、教員のプリント作成業務といった業務軽減にもつながります。

以上のことから、公立中学校既存のICT環境の有効化及びさらなる教育環境充実のためにも、中学校全普通教室へのデジタルテレビの早急な配置が必要であると考えますが、市の見解をお聞かせください。


【答弁】
平成21年度に始まりました学校情報化推進事業は、これからの時代を担う子供たちが、情報活用能力やプレゼンテーション能力などを身につけ、生涯にわたって社会の中で生き生きと活躍することを目標に推進しております。

事業開始後から今日まで、中長期の整備計画のもと、経費を抑えつつ、事業を推進してまいりましたが、その間、さまざまな成果が見られるようになりました。例えば教員一人一人の校務用パソコンの配備により、授業でICTを活用して指導する教員の能力が飛躍的に高まりました。また、校務支援システムによる教職員の事務負担軽減にも大きく寄与しております。

一方、授業でのICTの活用に関して、特に小学校におきましては、大型デジタルテレビと学習用パソコン、それと指導者用デジタル教科書の一体的な整備により、日常的にICTを活用した授業が展開されるようになりました。ただ、このような成果も見られる中、議員御指摘のとおり、大型デジタルテレビや無線LANなどの整備においては中学校のほうがおくれている状況にあり、このままでは、ことしの夏に整備しましたタブレット端末を十分に活用できないと認識しております。

平成27年6月の学校の情報化推進モデル校の生徒と教員を対象としたアンケート調査によりますと、教室で教材、グラフ、写真などを大型デジタルテレビに大きく映して行った授業では、授業への興味・関心が高まったことや、学習内容がよくわかるようになったと回答した割合が9割以上ありました。新たなツールとしてのタブレット端末や大型デジタルテレビなどをうまく組み合わせた多様な学習形態や学習方法は、これからの時代を担う子供の資質、能力の育成につながるものと考えております。

こうしたことから、中学校への大型デジタルテレビなどの機器の整備につきましては、教師のICT活用能力の向上や授業改善への取り組みなどとあわせ、豊かな学習環境づくりの観点から、早急に実現できるように努めてまいります。


【要望】
「豊かな学習環境づくりの観点から早急に実現できるよう努めてまいります」という前向きな答弁をいただき、心強く思っております。

デジタルテレビは一例ですが、これに限らず、西宮市では公立小学校では○○があるけど、中学校にはない。実際に居住地を決めるときに教育環境で決める方というのは一定いらっしゃいます。例えばそういった方が、西宮市のイメージを、小学校はいいけど中学校はそうじゃないよねというふうに─今はインターネットの時代ですので、そういったことがあればあっという間に広まってしまいます。

この件に限らず、小学校と中学校の両方を対象とする事業においては、進捗に大きな差異がある場合、予算であったり、国からの補助金、タイミング等もあると思いますが、差異の解消を図るだけでなく、小学校、中学校におけるバランスも考慮しながら進めてください。