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〇利用者による受益者負担では補えず、市からの補助額は29年度約5600万円
〇老朽化による改修工事と耐震補強工事にかかる多額の費用
・建物診断によると、2035年までの修繕費が約3.5億円
・震度6の地震で倒壊する危険があり、耐震補強工事に必要な額は概算約2420万円
〇利用者数減少及び固定化
・ピーク時から約1/3 (61,947人→20,844人)
※他の老人福祉センターは利用者増加傾向
〇不便な立地
〇市内に
・公民館や市民館などの集会施設
・スーパー銭湯のような入浴施設
・カラオケができる施設
といった類似・代替施設が増加

などを踏まえて、2016年6月定例会の一般質問でとりあげた、日帰り保養施設「かぶとやま荘」のその後のご報告です。建物等詳細については過去の投稿をご確認ください。

かぶとやま荘について

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当時、施設の今後のあり方について
「改修、耐震に必要な工事費、運営にかかる費用や利用者の推移を見究めながら、設置運営者であります西宮市社会福祉協議会と早急に協議を始めてまいりたい」と答弁しました。

これに対して、廃止せよとただ言うだけではなく、
・対象者が利用しやすいよう市内の類似施設利用への補助
・健康ポイント制度といった、健康維持・予防医療効果の高い事業などの時代のニーズにマッチした事業へ切替
 といった代替案も合わせて提示し、今後の在り方を検討するよう要望しました。

それから約2年弱。 「かぶとやま荘の今後について」報告がありました。管理運営を行う「社会福祉協議会」と市が今後の施設のあり方を検討した結果、今年度を持って廃止することとなりました。

市の説明では、
・「身近な地域の交流拠点とは言い難く「日帰り保養施設」の位置づけであるため事業の優先度が低いと考える。」
・「開設当初は、市内に同様の施設は少なく、一定の利用者数を確保していたが、近年スーパー銭湯やカラオケなど民間施設が増えていることに加え、高齢者の趣味や娯楽の多様化が進むにつれ、利用者が年々減少していることから、利用者ニーズの低い事業と考えられる。」

約2年前に指摘したこととほぼ同じです。また、 現在の利用者への配慮として隣接地にある「六甲保養荘」の入浴料を補助することになります。 

利用者数は平成13年をピークに利用者数は約1/3まで減少しています。利用者アンケートによると、かぶとやま荘がなければ「他の施設を利用」「困らない」を合わせると約7割となっています。

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一方、立地条件が比較的良い他の福祉センターでは利用者が増加しています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、身近な地域において助け合い・支え合いの活動を推進する必要があり、住み慣れた地域における居場所が必要ということです。

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経費面の試算によると、今後20年間継続した場合の経費は計約16.5億円です。一方、廃止の際は解体工事費など計約2億円です。20年間合計で差額の約14.5億円、年間で約7700万円が歳出削減額とります。 一般質問以降、市役所にしては早期に方針が示されたことを評価します。

同様に、市が運営に関与する施設として実質大赤字のリゾ鳴尾浜があります。詳細は

リゾ鳴尾浜についての過去の投稿

をご覧ください。

・運営会社の第三セクター以外の企業に、リゾ鳴尾浜の施設を譲渡して独立採算で経営をしてもらう。
・リゾ鳴尾浜を廃止し、運営会社を清算する。
どちらかの選択ですが、市は多額の税金を投入してこの施設を維持したいようです。不思議でしかたありません。運営会社の決算に反映されない市の支出(見込み)は今後15年間で施設の維持修繕費用として約15~20億円です。

高齢社会の進展により医療・福祉関連の歳出は自然と増加します。だからこそ、
・事業開始時にニーズがあったが、現在となってはなくても困らない。
・時代のニーズに合わなくなった。役割を終えた。
・民間でできることを市がする必要があるのか。

こういった事業をやめて、医療・福祉、教育などベーシックさーびすのために必要な財源をねん出しなければ、健全な財政運営はできません。引き続き事業の見直しや仕組みを変えることで財源確保に努めていきます。