12月議会では、「職員のワーク・ライフ・バランスの推進及び育児休業を取得しやすい職場環境の整備に対応することに伴い、所要の規定の整備を行うため。」という提案理由により、条例を改正する議案(西宮市職員定数条例の一部を改正する条例制定の件)がありました。しかし、提案理由さえ良ければ、議案に賛成するのであれば、議会の意味がありません。

平成29(2017)年3月定例会で、市役所の正規職員の総数を増やすための条例が賛成多数で成立しました。職員の定数は3,892名から3,946名へと54名増加しました。 

このときは育児休業を取得しやすくという説明はありませんでした。職員数を増やせば人件費は増加します。したがって、職員数を増やす前提として、 

〇業務の見直しや民間移管により効率化を図る 
〇ニーズの低い事業をやめる
などして、それでも職員数が不足するのであれば、増員を検討すべき
という理由で私はこの時、条例改正に反対しました。

それから約1年9カ月が経過して、同様に職員数を増加させる議案がでてきました。これまで育児休業取得中の職員を定数にカウントしていましたが、条例が改正されれば、育児休業取得中の職員を定数から除外できるようになります。今年度4月1日時点の人数であれば、職員数が117名増加します。

提案理由には賛同できますが、2017年に条例が改正されて以降の経緯を踏まえて、今回も議案に反対しました。主な理由は次の4つです。


①2017年に市が職員定数を増やした際、説明資料に「定数の枠としては増とするも、今後すべての事務事業を見直し、できる限り人件費を抑制する」とあるが、具体的な取り組みについて市から説明がなく、成果が見えない

まず、西宮市の決算の特徴です。
〇西宮市は人口1人当たりの歳出で人件費が圧倒的に高い。
 西宮市68,172円⇔類似団体57,606円
〇決算額における人件費の構成比
 西宮市19.9%⇔類似団体15.0%
〇学校の改築などの投資的経費の構成比が低い。
 西宮市6.9%⇔類似団体12.4%
〇経常的な収入に占める固定的な支出の割合(経常収支比率)が高い。
 西宮市95.9%⇔類似団体91.9%
※「平成28(2017)年度財政状況類似団体比較カード」より

条例が改正される前、改正された後も、働き方改革をすすめるための委員会質疑や、高齢社会に医療・福祉など更に必要となる財源確保のために、議員定数の削減をはじめ、事業の廃止や仕組みの見直しを私は提案しています。

今回の議案は、ただでさえ高い人件費率を更に高くすることにつながります。前回の条例改正から約1年9か月経過してその間、前回の資料に記載されていた「全ての事務事業の見直し」の進捗について確認しましたが、各課が個別で業務の見直しを、これまでもやってるし、これからもやっていくみたいな答弁でした。

あれば便利だけど、なくても困らないみたいに惰性でやっている事業をいくつか思いつきますが、全ての事務事業の見直しについて、具体的なことを全庁的に取り組んだという答えはありませんでした。おまけに勤務時間中の喫煙はトイレや水分補給と同じで、勤務時間中でもOKという状態ですし・・・


➁人件費の試算が示されない
今年度4月1日時点で117人の正規職員が育休を取得中でした。正規職員が育休を取得する場合、代替として臨時職員を採用して対応しています。この議案では、これまで臨時職員で対応していた配置を正規職員に置き換えるため差額分の人件費が増加します。また、定数のカウントは年度スタート時点のため、年度中に復帰した場合、定数にカウントされません。したがって、その分、実質的な定数増となり、人件費は増加しますが、具体的な試算を市は示さず。


③市の説明がデタラメ
条例改正に至った経緯として、 本会議の質疑では、「「西宮市特定事業主行動計画推進委員会」を構成するメンバー間では、日々の業務や人事ヒアリング等において常に議論を行い、状況把握や、今回の条例改正を行うに至ったことについても全体で認識してきたところでございます。」と答弁しました。しかし、この委員会が最後に会議を行ったのは前回の条例改正がなされる以前の平成28年3月。定数条例改正を議題とする会議は開催されておらず、過去の会議の議事録もヒアリングの議事録もありません。

条例改正を喫緊の課題としながら、11月に人件費分析についての報告があった際、

同じような提案を再び?~西宮市の人件費~(2018.11.14)

こちらから質問して、はじめて定数条例の改正を考えていると答えました。これまでも労使交渉の議題であったので、早い段階から市は改正の必要性を持っており、必要であれば、もっと早い段階で堂々と正しく説明すべきなのですが、説明と事実が異なります。


④やるべきことをしてからでなければ、際限なく職員数が増加するおそれがある
11月の市の説明では、「これらの新たな課題等に対する人事面での必要な体制強化策については、前述した様々な業務執行体制見直しに向けた取組を進めていくのとあわせて、今後も適格に取り組んでいかなければならないものと考える。」とあるので、「平成32年度以降に順次取り組みを推進していく」時点か、早くても31年度中の「市としての効率的な執行体制についての考え方を整理した」段階で条例改正の提案がされると思ってましたし、どう読んでもそうしか読めません。条例改正を提案する順序が違います。
1
2
3

結果、
賛成2反対5で条例案は委員会で否決本会議でも反対多数で条例案は否決されました。

市役所が職員のために職場環境を改善することは当然のことですし、保育所など一部の職種では育児休業の際に代替となる臨時職員が集まらない実態もあります。一方で、給料表やボーナスなど給与の見直しについては民間準拠としながら、

〇育休の取得率 
民間  男性5.8% 女性88.1%
市役所 男性3.5% 女性100%
〇育休期間
民間  1年(待機児童となった場合は2年まで延長可)
市役所 3年(待機児童関係なく)
※平成28(2016)年度労働実態基本調査

と民間よりも良好な状況であるにも関わらず、やると言ったことに手をつけず、公務員だけが更に育休を取得しやすくすることに賛成するのであれば、民間で働く人に対して、議員として説明責任が果たせるものではありません。



西宮市議会議員 わたなべ謙二朗(わたなべけんじろう)のブログ